5月29日に林祥太郎さんのコンサートを主催しました。
日本のクラシックギター界の若手ギタリストとして注目され、テレビ等にも紹介された人気ギタリストです。
コンサートを開き、SNSで発信するだけで即完売。
当方では、SNS情報に疎いファンの方々にも聴いてもらうために、機会均等にするために、抽選方式を採用させていただきました。
こんな時代に会場に赴き、聴いてみたいという思いを抽選で切り落とすのは、とても心が痛みましたが、コロナ禍で人数制限などのなか苦渋の選択でした。
プログラムはクラシックギターのオリジナル作品から、タンゴやアルゼンチンの歌曲など、幅広いレパートリーを聴かせてくれました。
前回、オンラインで音がよくなくてもいい音楽であることに変わりない、と書きましたが、やはり生の音で素晴らしい音楽を聴けることはもっと幸せです。
今回このコンサートを開催して、コロナ感染も拡大している中でお一人もキャンセルが出なかったこと、そして「開催してくれありがとう」とメールをいただいたこと、開催してよかったと思える瞬間でした。音楽は「生きる」のには必要ではありませんが、「生きていく」ためには不可欠だと思っています。
当日、お越しになれなかった方へ、せめてその様子をお伝えしたいと思い、書き記しました。
プログラムは
作品35-17(夢) /F. ソル
エル・ロコ /E. S. デ.ラ.マーサ
アルハンブラの想い出 /F. タレガ
レイェンダ /I. アルベニス
前半は18世紀後半から19世紀のクラシックギターの黄金時代の名曲ばかりです。
まずスタートにソルの小品。
F.ソルはスペイン人でありながら後世はフランスで活躍した作曲家でギタリスト。クラシックギターの独奏曲を多く書き、19世紀ヨーロッパにクラシックギターの価値を知らしめたギタリストと言えます。
美しいメロディーとハーモニーが特徴で、まず第一曲目にこの曲を選ぶ林さんのクラシックギターへの想いを感じさせました。
続いて19世紀スペインの作品を3曲。
エル・ロコ(気狂い)は、スペインの詩人、ヒメネスがロバのプラテーロについて書いた詩「プラテーロと私」に沿って作曲された曲集の中から一曲。近年弾かれることが少ないのですが、バルセロナで勉強してきた林祥太郎さんならではの選曲ですね。
そして超有名曲、トレモロで有名なアルハンブラ宮殿の思い出。林祥太郎さんはトレモロの美しさでも定評があり、生で聴くとさらに立体的で空気に漂う音の粒にうっとりします。
レェインダ(伝説)は「アストゥリアス」というタイトルでも知られていますね。原曲はピアノなのですが、明らかにギターをイメージして書かれた作品です。
2019年に公開された「マチネの終わりに」の中でも使われていましたし、ダイワハウスのCMにも使われていましたねー。ドキドキするような緊張感のある名曲です。
後半は同じスペイン語圏、アルゼンチンの作品を聴かせてくれました。
フェアウェル、思い出 /S. アサド
チキリン・デ・バチン /A. ピアソラ
澄み切った空 /Q. シネシ
想いの届く日 /C. ガルデル
フェアウェル(さようなら)と思い出。どちらも物悲しいメロディーに心を打たれます。
湯本香樹実さんの児童小説を映画化したときに、相米慎二監督がアルゼンチンのギタリスト・アサド兄弟に、作曲・演奏依頼をしました。映画は全編を通じてギター曲のみというクラシックギターファンにとって嬉しい作品でした。
そして、近代タンゴの神様、ピアソラからも一曲。「チキリン・デ・バチン」というなんか痛そうな(笑)題名ですが、バチンというレストランにあらわれる花売りの貧しい少年を歌った曲をギター独奏にアレンジしたもの。
哀愁を帯びたメロディーが涙を誘います。
続いて澄み切った空もアルゼンチンを代表するギタリスト、キケ・シネシの作品。南米特有のリズムが鋭く表現された名演です。
最後はやはりアルゼンチンの古い映画「想いの届く日」の中で歌われるロマンチックな恋の歌をギター独奏にアレンジした作品。
全プログラムを通じてクラシックギターの美しい音色とハーモニーを最大に引き出せる曲選びと、林祥太郎さんの持つ繊細で清楚な音楽を最大限に表現されたプログラムだったことが印象的でした。
また、このような機会を持てることを願って!
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